ある日、私は友人と夕方から中華街へ食事にでかけた。
中華街は大好きなので、私はご機嫌だった。
食事を終えて、帰路についた。

団地の玄関まで来て私は、「ありゃ！困った！」。
鍵を持っていない事に気づいたのだ。
そう言えば、鍵を持って出ていない・・・。
運が悪い事に、その日に限って、弟は飲みに行っていた。
そして、同居の友人も彼女の家へ泊まりに行っていたのだ。
とりあえず、弟が帰ってくるまで玄関の前で待つ事にした。
しかし、11時になっても12時になっても弟は帰ってこない。

しかし、弟め・・・。
車の後ろのスペースにバイクを停めているものだから、ドアが開いても２０ｃｍ強の隙間という厳しいものだった。
人間は、極限の状況に直面すると不思議な力が出るもんだ・・。
私は、そのわずかな隙間からスルリとヘビのように中に入り込んだ。

無事に車中へと入り込める事に成功した私は、後部座席に寝て（と言ってもかなり窮屈に体を折り曲げてだが）弟が帰るのを待った。
団地の弟の部屋は駐車場の車から見える位置にあるので、部屋の明かりがつくのを待てば良いのだ。
マサに張り込み状態。（笑）

そんな私もいつしか、うとうとしてしまっていた・・・。
すると、なにやら車の外でガサガサという怪しい音がしたのだ！
外を見てみると不審な人物がっ！！・・・と思いきや！
それはなんと弟だった！
私は、涙目でドアをガンガン叩いてアピールした！
「わっ！姉ちゃん、何でこんなとこに！」
弟はかなりビックリしていた。
「鍵を持って行くのを忘れて中に入れなくて！！」
９９％「助かった！」と思った私が次に聞いた衝撃の新事実・・・。
「ワハハッ！俺も飲んだ時に鍵を無くして・・・！！」　

家なき子は二人になった。

翌日の朝、彼女の家にいる同居の友人を電話で叩き起こして鍵を開けに来てもらった。
「日本一のバカ兄弟・・・。」
彼はそう言って、また彼女の家へと戻っていった。